ィルタリングソフトのフィルター原理は、大きく分けて2つになります。URLリスト(ブラックリスト、ホワイトリスト)によるフィルタリング、そしてキーワードによるフィルタリングです。前者の場合、その対象となるリストが動的に更新されるデータベース方式であることが多く、こちらの方が当然、最新のデータを反映することになります。これはフィルタリング技術を提供する会社の専任スタッフが目視で、有害サイトをリストアップするタイプです。これであれば、間違って、有害サイトでないものを有害サイトであると認定することはありません。 しかし、いくら専任スタッフがたくさん置いていても、人間の力では限界があります。このURLリスト方式だけでは、昨日アップされたばかりの有害サイトをブロックすることは不可能です。そこで、予め定めたキーワードを含むページは一切表示しないという「キーワード方式」を併用することが普通です。しかし、少し考えてみれば容易に想像できることですが、この「キーワード方式」の場合、過剰規制の危険性が常に付きまといます。 例えば、「sex」というキーワードを禁止語句に指定した場合、「サセックス大学(University of Sussex)」は表示されません。また、今読んでいただいている当ページも表示されないでしょう。「ヌード」を禁止語句に指定すれば、「カップヌードル」のサイトも表示されません。(いずれも、Asahi-netのオプションサービス「i-フィルター Active Edition」でテストしました。) このような危険性も予め考慮して、キーワードは選定すべきでしょう※1。実際のところ、サセックス大学やカップヌードルのサイトを子供が見られないようになったとしても、ほとんどの家庭(学校)で問題ない場合が多いでしょうが、それでも「ブロックされたという事実」は、何か後ろめたい思いや、親(先生)に後で怒られるのではないかという不安を子供(生徒)に与えないかと私は心配します。例えば、まったく問題のない日記サイトにアクセスしていて、「今日は昼にカップヌードルを食べて・・・」という文章が含まれていて、それを知らずにアクセスしたらブロックされたとしたら、子供(生徒)はどう思うでしょう? なぜ、ブロックされたかも分からず不安になるはずです。 ただ、この過剰規制の問題は、フィルタリングソフトを導入する上で、今のところ避けられない問題なので、このような危険性を予め認知しておき、無実の子供(生徒)に罪悪感を与えない配慮だけは忘れてはいけないのではということを指摘したく、このページを設けました。参考にしてください。 過剰規制の問題とは反対に、ブロック漏れの問題も当然あります。規制される側のサイトでは、規制されないように、あの手この手で規制を逃れようとするケースがあるためです。実例を挙げることは避けますが、ある方法を試した限りでは、キーワード形式でもスルーさせてしまう方法がありました。しかし、これらのブロック漏れの問題も、フィルタリング技術を開発している会社では熟知しているはずであり、時間とともに解決されていくものではないかと思います。何よりも、フィルタリングソフトがあるのとないのとでは雲泥の差であり、完璧でないから導入しないという理由にはならないはずです。 また、ブロック漏れの問題ゆえにフィルタリングソフトを使わない理由とするのも問題だと思いますが、一方で、ブロック漏れがありうるということを知らずにフィルタリングソフトを過信してしまうのも問題です。実際、「『フィルタリングは子供への危険を増大させる』と米教育学教授 」(Internet Watch)の指摘する問題点はまさしくここにあります。この記事の指摘するように、フィルタリングソフトを一切使わないことが解決策になるとは思いませんが、フィルタリングソフトを過信するのを止め、また、フィルタリング導入の目的を子供に対してはもちろん、自分に対してもはっきりとさせる必要はあるかと思います。 最後に、次のページで、フィルタリングを導入する上で参考になるであろうサイトをいくつか紹介して終えることにします。 ※1 実際は、フィルタリングソフトも日々賢くなっています。ブロック漏れの問題はもちろん、過剰規制の問題に対してもです。例えば、i-フィルターの場合、googleでキーワード「ポルノ」で検索してもブロックされます。「ポルノグラフィティ」で検索すると、検索結果が表示されます。2003年12月31日、人気ロックバンド「ポルノグラフィティ」のサイトがトップで検索され、検索結果をクリックして、そのサイトを見ることもできます。その他の上位ポルノサイトは軒並みブロックされます。 |